「警官の血」上下 佐々木譲 新潮社 ☆☆☆★ 2007年9月25日初版
道警シリーズとは違って、戦後から平成までの祖父、父、子、三代の警官の物語。祖父は駐在所勤務をしていたが、谷中の五重塔が焼失した夜に不振死を遂げる。父は70年代初め過激派に潜入捜査官として入り込み、幾つもの手柄を立てるが、潜入捜査によるPTSDを抱えて、家庭は崩壊寸前になるが、祖父と同じ駐在所に赴任することでいくらかの改善を見る。そこでかつての祖父の死の謎を探り始めるが…。そして子は、警務部に配属され、捜査四課、暴力団担当のある捜査員の調査を命じられるが…。祖父の死の問題をもう少し大きな伏線にするのかと思ったが、そうはせずに三代それぞれの時代との関わりで物語が進み、最後の落としどころも好き嫌いは別にして良くできていると思います。
道警シリーズとは違って、戦後から平成までの祖父、父、子、三代の警官の物語。祖父は駐在所勤務をしていたが、谷中の五重塔が焼失した夜に不振死を遂げる。父は70年代初め過激派に潜入捜査官として入り込み、幾つもの手柄を立てるが、潜入捜査によるPTSDを抱えて、家庭は崩壊寸前になるが、祖父と同じ駐在所に赴任することでいくらかの改善を見る。そこでかつての祖父の死の謎を探り始めるが…。そして子は、警務部に配属され、捜査四課、暴力団担当のある捜査員の調査を命じられるが…。祖父の死の問題をもう少し大きな伏線にするのかと思ったが、そうはせずに三代それぞれの時代との関わりで物語が進み、最後の落としどころも好き嫌いは別にして良くできていると思います。
著者はサバイバル登山と呼ぶ『身体から装備を外し、米と調味料以外の食料をザックから抜き、五万分の一の地形図以外の情報から目も耳もふさいで、登山道をつかわず、長く山を旅するというスタイル』を実践しています。そこで、食料は魚を釣り、猟期には散弾銃を持ち、鹿などを撃ちその場で解体して食料にするという形の登山を実行しています。そこから見えてくる生き物を殺して食べる、という行為を考えているようです。読み出して最初は登山や、人と動物(広い意味での自然)との対峙のあり方に共感していたのですが、読んでいるうちに何か違うのではないか?という疑問が出てきました。一番の問題は、著者が猟師を生業としているわけではないということ。そのためどうしても殺生について語るとき、後ろめたさに対する弁解じみた意識が抜け切らない。あるいはそういうものが無いとしたら、ただの自慢話になりかねない危うさがある。自然に対する方向には共感できるだけにそこがどうも。まあ、まだどこかに向かう過程なのだと思っていますが。
かつてスーパーマーケットチェーンの社長だった崎見は粉飾決算で逮捕され会社も倒産、服役を終えた今は下町の古ぼけたバッティングセンターを経営している。そこにいろいろな男たちが集まってくる、引退した泥棒幸太郎、早期退職して今は若い頃の夢だった小説を書いているが家族に疎まれている川畑、介護士の畑山、等々。そこに幸太郎が、オレオレ詐欺でもうけた金を隠し持っている男がいるという話が持ち込まれる…。で、この題名だとチームを作ってその金を狙うのか? と思ってしまうのだが話はそういう風には行かず、バッティングセンターの地上げの話や、別れた元妻の借金やなにかの話など、ある意味日常的な物語が最後まで続く。盛り上がりには欠けますがこういう方向もこれはこれでありかと。