2009年01月

国家の罠

「国家の罠」 佐藤優 新潮社 ☆☆☆
img20090131.jpg 半ばドキュメント。鈴木宗男事件にからんで、どう逮捕され、取り調べを受け、収監されていたかというのと、(著者の言う)事実と国策裁判について。ドキュメント部分は面白い。著者の言い分については80%くらいは信用できるか? というところ。少なくともこの著者は、信じやすいような表現が出来る人間だということはわかる。鈴木宗男がカッコ良すぎ。それとこの国策裁判を使嗾した黒幕を明言していないのもちょっと。(そんなもの国家権力中枢に決まってるのだが)後は、田中眞紀子というのがどうしようもない女で、日本外交の選択肢を狭めてしまったという指摘。これも鈴木宗男サイドからの発現だということを少しは考慮する必要はあるが、それでもやな奴だろうなというのはわかる。

ゴスフォード パーク

「ゴスフォード パーク」 ロバート・アルトマン ☆☆☆
 1932年のイギリス。カントリー・ハウスで晩餐会と狩りが行われ、その夜、殺人事件が起こった。動機を持つ容疑者はたくさんいるが、誰が・・・。というメイキングで脚本家も言ってますが、クリスティーの作品みたいな設定。だが謎解きはそれほど重要視されていない。(むしろパロディー味すらある)
 とにかく登場人物が多い。客だけでなく、召使い、執事、料理人等総勢三十数人。それらをそれぞれ描写しているのは驚き感心します。そこに階級差の問題やらいろいろが加わり、重層的になっています。さすがアルトマンと言うべきか。
2002年作品

オオカミ少女はいなかった

「オオカミ少女はいなかった」 鈴木光太郎 新曜社 ☆☆☆★
img20090126.jpg 心理学にまつわる、否定されても何度もよみがえり、流布されていく迷信を取り上げて検証していきます。「オオカミに育てられた少女」「サブリミナル効果」「天才馬クレヴァー・ハンス」「なぜ母親は赤ちゃんを左胸で抱くか」などといった問題。それらに対して実に明快・論理的に検証していきます。文章が読みやすく気楽に読めます。ロールシャッハテストも、あまり意味が無いそうです。

ぬえの名前

「ぬえの名前」 橋本治 岩波書店 ☆☆☆☆
img20090124.jpg 90年代の初め頃に書かれたエッセイ集。中で面白かったのは、プロとアマ、芸術家の位置を考える数編と、イナカとミヤコの関係を考える数編が面白かった。ま、例によって難しいことをわかりやすい言葉で書いて、そのためかえって判りにくくなっているという、この人のいつもの癖はありますが。後は金丸信の臨床尋問の解説も面白い。これはこの前読んだ「許永中」ともいくらか関連してくるのですが。もひとつこんなことも。引用すると、
『もう一つ、ナカダイタツヤの『鉄腕アトム』というのがある。ナカダイタツヤの役は、勿論、自分の手で作り上げた〝最愛の息子〟を平気でサーカスに売り飛ばしてしまう、鉄腕アトムの狂気の父・天馬博士その人である。天馬博士=ナカダイタツヤ、お茶の水博士=ビートたけし、ロボットのお父さん=伊東四朗という並べ方をしてしまうと、〝戦後の父〟なるものの構造が全部見える。自ら理想を達成した父は自己中心の狂気に走るし、育ての父は〝人のいいオジーサン〟だし、後からそのオジーサンによって作られたお父さんは、ただの役立たずだ。いやー、私はこれを『カサノバ』を撮ったフェデリコ・フェリーニに撮ってもらいたいなー。自分を追い出した戦後なる共同体に復讐を仕掛ける為に、天馬博士が〝史上最強のロボット〟を作って、これが最後、発動しないで海の底にむなしく沈んでくの。なんてフェリーニの作った『鉄腕アトム』だろう……(きっと誰も喜ばないだろうけれど)。』
 これって「プルート」?? 違うか。

エレクトラ

「エレクトラ」 ロブ・ボウマン ☆☆☆
 マーベルコミックの「デアデビル」からスピンアウトしたヒロイン、エレクトラの映画。日本趣味というか東洋趣味というか、忍者は出てくるし、悪の組織の幹部たちが日本語を喋っているのはこれが出てきた80年代のアメリカの世相を反映しているのかな?(しかし「キマグレ」ってなんだ??)あとは悪役たちがそれぞれ、おどろおどろしいのにわりとあっけなくやられてしまうのが情けない。ボブ・サップなんて随分間抜けなやられ方だし。それでもまあまあ普通に作っています。
2005年日本公開
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